個別支援計画書や連絡帳をAI化する前に、現場で決めておきたいこと
福祉現場でAIを使うなら、先に決めるべきなのはツール名ではなく、個人情報・確認責任・現場に残す判断です。AI内製化の前提を整理します。
最初に決めるのはツールではない
個別支援計画書、連絡帳、モニタリング記録、行政提出書類。福祉現場には、AIで下書きを助けられる業務がたくさんあります。ただし、いきなりツールを入れると、誰が確認するのか、個人情報をどこまで入れるのか、文章の責任を誰が持つのかが曖昧になります。AI化の最初の仕事は、ツール選びではなく、現場の判断をどこに残すかを決めることです。
個人情報を入れない型を先に作る
福祉の記録には、利用者名、診断名、家族構成、学校名、生活歴など、外に出してはいけない情報が多く含まれます。AIを使う場合は、まず個人を特定できる情報を伏せたまま相談できるテンプレートを作る必要があります。例えば「小学生Aさん」「感覚過敏あり」「集団活動で疲れやすい」のように、支援上必要な抽象度へ置き換える。これだけで、AI利用の危険度は大きく下がります。
下書きと決定を分ける
AIに任せてよいのは、文章のたたき台、抜け漏れ確認、言い換え、構成整理です。支援方針の決定、本人や保護者への説明、最終文面の責任は、現場の専門職と管理者に残します。この境目を曖昧にすると、楽になるどころか、後から説明できない記録が増えます。AIは判断者ではなく、判断を整理する補助線として扱うのが安全です。
まず10分で試す使い方
最初のテストは、実名や帳票を使わず、架空のメモで行います。例: 小学生Aさん、集団活動前に不安が強い、写真カードで流れを見せると着席しやすい。これを使って、連絡帳文、支援記録、個別支援計画書の目標案をそれぞれ1つずつ出してみます。
プロンプト例: 次の架空メモをもとに、1. 保護者向け連絡帳、2. 職員向け支援記録、3. 個別支援計画書の短期目標案を分けて作ってください。いずれも下書きであり、最終判断は職員が行う前提にしてください。本人を評価する断定表現は避けてください。
この10分テストで見るのは、出力の完成度ではありません。どの業務に使えそうか、どの表現は危ないか、職員が直せるかを見ます。現場の会話が具体化したら、次に本物の業務で小さく試します。
現場スタッフが直せる形で残す
外部の人が一度だけプロンプトを作って終わりにすると、制度改定や事業所の方針変更に追いつけません。連絡帳の文体、保護者への伝え方、行政向けの表現は、事業所ごとに変わります。だから、プロンプトや運用手順は現場スタッフが読めて、直せて、引き継げる形で残す必要があります。AI導入ではなく、AIを内製できる状態を目標にする理由はここにあります。
小さく始めて、月1回見直す
最初から全業務をAI化する必要はありません。まずは連絡帳の下書き、支援記録の要約、会議メモの整理など、リスクが低く効果が見えやすい業務から始めます。そのうえで月1回、どの文章が役に立ったか、どこで手戻りが起きたか、使ってはいけない入力がなかったかを見直します。小さく始めて、現場の言葉で直す。この積み重ねが、福祉現場に合うAI内製化の土台になります。
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